新人看護師だった最初の1か月、
「もっと勉強しなきゃダメだ……なんで学生時代サボってしまったんだろう……」
と私はひたすら後悔していました。
学生時代、テストの点だけで言えば平均的でしたが、臨床に出てからはテストのためだけの付け焼刃のような知識なんぞ役立つ場面はほぼありません。
テストのためだけに勉強して、結局勉強した内容が臨床に生かせない。
そんなわけで今回は、新人看護師さんにおススメしたい勉強法を書いていこうと思います。
Contents
新人看護師さんが毎日勉強するべき理由
「新人なんだから勉強するのは当たり前デショ!!」
って怒号がおツボネ界隈からは飛んできそうですが、一応勉強する理由やメリットを書いておいた方が、実際に勉強する側にとっては良いかなと思いまして。
臨床では、
① 学んだ内容を
② 頭の中で取捨選択して正しく判断し
③ 行動(手技)に生かすことができる
ということが大切になります。
手技をきちんとできるようになるには経験が必要不可欠なので、経験が乏しい新人さんはどうしても実際にやってみなければ身に付かない部分が大きいでしょう。
しかし、学んだ量が少なく質も悪ければ、情報の取捨選択もできないですし、根拠をしらなければ手技の質も落ちます。
勉強したことがすべての基礎、土台になるのです。
勉強しながら経験を重ねることで、新人は中堅・ベテランへと成長していくわけですが、その道は容易ではなく、想像をはるかに超えた多くの知識量が必要になると思ってください。
積み重ねが何より大切
さて、臨床で使う膨大な知識量、1日2日で補えると思いますか?
どう考えてもムリですね。
だから毎日勉強し、積み重ねていく必要があるのです。
加えて、ひとつ例を挙げますね。
先輩:「明日は○○の患者さんが来るからこの分野の勉強しておいてね!」
新人:「わかりました!」
……翌日……
先輩:「○○の患者さんの入院来ないことになったって!
代わりに□□の患者さん来ることになったけど、そこ勉強してる?」
新人:「してません……」
ただでさえイレギュラーが多い仕事です。
前日に勉強した分野が翌日にすぐ生かせるわけではありませんし、こんな風に急に別の知識が必要になることもあります。
看護師と言う職業は、広範囲の知識が必要になり、しかも『命を預かる』という責任が常に伴います。
ヤバいよね?
新人さんに、
「今すぐすべてに対応できるようにならなければいけないよ!」
と『言う』だけなら簡単ですが、難易度的に無理です。
誰しも新人の頃は周囲のフォローが不可欠なので、それは気にしなくて良いと思います。
ただ、いずれは広範囲に対応できる知識を身に着けた方が良いし、それはなるべく早い方が良いですよね。
しかし上記の通り、その知識は一朝一夕で身に着けられるものではありません。
だから、毎日少しずつ勉強を積み重ねることが大切なのです。
新人看護師が毎日勉強するためのコツ
新人看護師さんが勉強する上で、私が思うコツは以下の3つです。
① 短時間でできる
② 繰り返し行うことができるよう工夫する
③ 負担にならない勉強量を意識する
③の負担にならないという所でひとつ言いたいのは、
「明日、この技術があるって言ってたな……」
「でも疲れたからこの技術の勉強はしなくてもいっか。負担になることはやめよう」
ということではありません。
翌日に患者さんの不利益になるとわかってて勉強しないのはNGだよ!
そこだけは絶対に頑張ろう。
ただ、毎日継続するという視点から見ると、限界を超えて頑張りすぎるのは、信念がないと(信念があっても)いずれ必ずイヤになる時が来ます。
緊張し続けた糸の方が、たまに緩んだ糸よりもダメージの蓄積が多く、早く切れてしまうのは明らかですね。
だから自分で行う毎日の勉強は、負担にならない程度に抑える視点が大切なのです。
そして負担にならない方法として、上記の3つの視点が必要になるでしょう、ということです。
「新人のくせに、負担にならない程度の勉強量しかしないってどういうこと?」
「もっとやらなきゃダメデショ!!」
という声が、これまたおツボネ界隈からは飛んできそうですが、
すこし黙っとけ。
確かに、新人看護師さんに勉強は不可欠ですよ。それは疑いようがない。
新人さんが、職場で最も『できない』存在であることは明白だからです。
1日に勉強がいくらでもできるなら、それはした方が良いさ。
人間、勉強したことを全部覚えていられれば楽なのですが、そうはいきませんしね。
経験がない上に知識もない状態は、早めに脱するべきだとは思う。
でもね。
マジメな人ほど毎日毎日、自分のキャパシティを越えた勉強をしてしまうんですよ。
そうして無理し続けて、それでもできなくて褒められるどころか叱られて、そんな状態で頑張り続けられる新人さんがたくさんいるとでもお思いですか?
無理なんだよ。
ツイッターで新人看護師と名のついているアカウントがどんなことを普段つぶやいているか見てみると良いよ。
新人看護師が『つぶれずに1年目を乗り切る』ための勉強方法を、ここでは書きたいのです。
では、具体的な方法に移っていきましょう。
新人看護師が毎日勉強するための具体的な方法
いよいよ本題です。
ここでは、『勉強の優先順位』と『勉強するべき時間』、『勉強のやり方』について書いていきたいと思います。
勉強の優先順位
① 前日に「勉強してきて!」と言われた&翌日に行うとわかった処置の勉強
② 職場にいる患者さんの疾患&既往歴にある疾患
③ 自分のいる科に関する勉強&基礎的な看護技術の復習
①と②の優先順位は同じくらいです。必要度が高く、優先的に勉強するべき分野です。
だって患者さんに迷惑かかるもんね。
③は、できれば①、②と並行してやっていければベスト。
しかし、特に1年目のうちは①、②で精いっぱい、なんなら最初は①のみで手いっぱいになるでしょう。
そこで、とりあえず毎日①だけは最低限、でもみっちりとやり、わからないうちは②は休日を使ってたくさん勉強しましょう。できるだけ。
一番初めのうちに、どれだけ勉強できるかが大切だと思います。
だって覚えてしまえばこっちのもんなんだから。
経験したことが増えてきて①が少なくなってきた頃に、②の量を増やしたり、③をやっていければひとまず良いかと思います。
勉強するべき時間
私のおススメは以下の時間です。
・通勤時間中
・トイレ休憩中
・帰ってからの〇時間
新人看護師の私は最初、仕事の休憩時間に勉強をしていました。
午前中にわからなかったことをすぐに調べられるので記憶にも残りやすいし、そこで勉強してしまえば家での自由時間も必然的に増えるし、いいことづくめだと思ったんです。
しかし、
「休憩中まで勉強してますアピールしなくていいから」
とか言っちゃうようなプリセプターなどがいる職場では、とてもメンドクサイことになるのでおススメしません。笑
いずれにせよ、スキマ時間を使うことは有効だと思うんですよね。
理由は3つあります。
・繰り返しのタイミングとしてピッタリ
・勉強が強制終了されるので、集中しやすい
・スキマ時間勉強の積み重ねで、まとまった自由時間を作れる
『繰り返しのタイミングとしてピッタリ』と言うのは後述します。
私は電車通勤だったので、通勤時間にポケットブックや単語帳などを使って勉強していました。
いずれ電車から降りなきゃいけないし、トイレが終わればそこから出ますよね。
終わりが決まっている時間に勉強すると、「その時間だけは頑張ろう!」という気持ちが働きやすく、集中しやすいと思います。
短い時間を勉強にあて、それを繰り返すことで、あとからまとまった自由時間を作れるということも大きなポイントです。
仕事して疲れて帰ってきて、家でも長々と勉強することが山積み……みたいな状況だと
「私、なんのために生きてるの?」
となりかねません。
息抜きの時間を作り出しましょうね。
それが、自分がつぶれないための最も大切なポイントです。
『帰ってからの〇時間』も、時間をあえて書かなかったのは、その人の状況によってできる時間に違いがあるからです。
ただ、「この時間だけは頑張ろう」という時間の設定だけはしておくと、モチベーションにつながると思うので書きました。
30分でも10分でもとりあえずはOK。
だって自分が決めた設定時間、誰に言うわけでもないですからね。
自分が必要だと思う&できる時間を設定しましょう。
勉強のやり方
・朝の通勤中:今日やる手技などの手順を読む
・帰宅中:今日やった手技などの手順をもう一度読み、失敗点や注意された点は書き込む
・帰宅後:明日の勉強を〇時間以内で終わらせると決めて行う
・休日:その週にやった手技の勉強を再度見返す
ここまでできればベストですが、ぶっちゃけかなり大変です。
個人に合わせた形でどこかを削っても良いと思う。
ですが、この勉強法には理由があるのです。
この前まで、とある資格試験の勉強をしていました。
そこで実感したのですが、『読む・書く・話す』をやりながら、3回同じ部分を勉強すると、記憶にかなり定着しやすいですね。
この3回のハードルをいかに簡単にクリアするかが、記憶に残るか残らないかにかかってくると思います。
通勤時間を使うことは、『繰り返しのタイミングとしてピッタリ』だと上に書きました。
この勉強法だと、同じ内容を①前日、②当日朝、③当日帰宅時、④休日の4回勉強する形を取れます。
少し間を空けてから、再度復習することで、より記憶に定着しやすくなります。
ただ、通勤時間中に立ったまま分厚い専門書は開けないので、私は『パン太郎とチャレンジ!看護クイズカード100』という単語帳クラスの大きさの看護書を使っていました。
超おススメです。詳しく知りたい方はこちらの記事で紹介しています↓↓
ちなみに。
3回やっても記憶に残らなかったことは、別ノートにまとめて見返せるようにすると良いですよ。
そこがあなたが苦手とする分野に違いないので、絶対に覚える必要があるならわざわざ別ノートを作る価値はあります。
勉強する上で新人看護師さんに伝えたいこと
病棟で先輩に教えられた知識でも何でも、必ず自分で確認しましょう。
教えてくれたその先輩が間違っていないと言い切れますか?
お局様があなたに話したその知識が、最新のモノであるかどうか、新人であるあなたにわかるでしょうか?
人間である以上、何かを間違って覚えることがないとは言い切れません。
その間違った知識を、先輩として後輩に伝えてしまうかもしれません。
教えられたことをそのまま飲み込んで間違ったケアをして、万が一何かが起きた場合に、責任を取らなければいけないのはあなたです。
気の毒ですが、その知識に基づき行動したのは、紛れもなくあなただからです。
誰も守ってはくれません。
最後に
今日は『新人看護師さんがつぶれないための勉強方法』を書いたつもりですが、目標に向かって頑張ること自体は素晴らしいことだと思いますよ。もちろんね。
だから1日何時間だって勉強します!
それができる方は、本当に尊敬します。
この記事で私が言いたいのは、
息切れしてることに気づかないまま走り続けないで
ということです。
自分がつぶれないために、自分を状況を見直すために、余裕を持つことは大切だと思います。
「スキマ時間で勉強することに意味なんてあるの?」
と思われた方もいるかもしれませんが、私は30歳になって積み重ねの偉大さを再び経験しています。
それは私のブログの話。
今年2月に始めたこのブログも、コツコツ記事を積み重ねた結果、今や65記事を越し、読んでくださる方も増えてたくさんのありがたいコメントも頂くようになりました。
『なすび―のプロフィール。』に書いてありますが、主に足の痛みがあってわりと家に引きこもりがちなので、皆さんとの関わりに大いに励まされています。
本当にありがとうございます。
今すぐにできることは限られていますし、今すぐに効果を実感できないことを続けることはツラいですよね。
私も何度も挫折してきました。
しかし、積み重ねることでより遠くの景色を見られるようになるのは、事実です。
これはどんなことにも共通するのではないかと、私は今ひしひし実感しています。
そのことを覚えておいて損はないと思います。
コツコツ、ゆっくり頑張っていきましょう。
お互いに。
ここまで読んでくださってありがとうございました。