ツイッターを見ていると、特に新人看護師に対し
「そんなひどいことが言えるなんてヒトじゃない……」
と思うような言動が、時々見られますね。
今回は、新人看護師が何かやらかした時に、
「そんなんじゃいつか患者さん殺しちゃうよ?」
と言ってしまう先輩看護師について思ったことを書いてみました。
この言葉、すごく残酷で恐怖をあおる言葉だと思いませんか?
「患者さんを殺したいの?」って簡単に言うけどさ。
そんなわけないじゃんね。
看護師として勤めている方、看護学生をしている皆さんが、看護師になった理由は十人十色でしょう。
私も看護師としてやりたいことがあって目指したという理由もあります。
しかし、同じくらいお給料の良さに惹かれて選んだので、
「世のため人のために仕事します!」
みたいな大層な使命感があったわけではありません。
しかし、同時に『人を助けることができる』仕事だということに惹かれたのもまた事実。
同じように、人を助けたいという気持ちを持って看護師を目指し、そうしてやっと就職しましたという人の方が多いのではないでしょうか。
実際、そういう気持ちが少しでもなければ、ヒトの命を背負って働く責任に耐え続けることはできないのではないかと思います。
そんな思いを持って看護師になったのに、自分はいつか患者さんを殺すかもしれない。
新人看護師がそう思うと、それは
「看護師になるんじゃなかった」
「看護師を辞めたい」
という気持ちに直結してしまいます。
「患者さんを殺したいの?」っていう先輩の意図は何?
先輩看護師が「患者さんを殺したいの?」っていう意図は何でしょうか。
① 新人看護師がミスをした時、次に大きなインシデント・アクシデントにつながらないよう戒めのために言う
② 危機感のない新人看護師に注意を促すために言う
③ 自分のストレス発散のために言う
思いつくのはこんな感じかな。
それにしたって、患者さんを殺したいのって、衝撃的な言葉ですよね。
自分が患者さんを殺すかもしれない、と思うことは、新人看護師を委縮させることにつながります。
そして委縮すると、新人さんの成長スピードは著しく下がります。
何をやるにしても、自分のせいで患者さんを傷つけるかもという思いが頭をよぎり、新しい技術を学ぶ・行うことに対して恐怖心を感じることにつながるからです。
結果、仕事を覚えることがどんどん遅くなっていきます。
そうならないように新人看護師をフォローするのが、周囲の役目だと思います。
「患者さんを殺したいの?」なんて強烈な言葉を使わなくても、直接教えればいいじゃないですか。
「同じミスをしないように、確認する時はもっとこうした方が良いよ」とか言うだけではなぜダメなんですか?
多分けっこうありがちな理由です、が、これを言っているのはイイ大人ですよ。
看護学生・新人看護師時代に先輩たちに当たられまくった経験を持つ身としては、自分の機嫌を取ることは社会人としてのマナーだと改めて感じるばかりです。
どちらにしろ、強い言葉を新人に投げかけることは、まったく意味がないと思います。
新人看護師が委縮しないような環境を
そもそも新人看護師を大切にできない病棟・病院はアホです。
最初はできない新人にイライラするかもしれません。
人の命を背負っている自覚がないように見えて、怒鳴りたくなるかもしれません。
でも、「自分は最初からできたんですか?」って話じゃないですか。
自分が新人だった時を思い出してください。
新人看護師は、あの時の自分と同じように頑張っています。
各種細かい数々の仕事を覚えるにはどうしたらいいか、仕事の段取りをどうしたら早く終わるのか、必死に考えながら頑張っています。
そうやって2年、3年を乗り越えて成長した元・新人が、今のあなたであり、先輩であるわけでしょ?
新人が成長することで、病棟全体の仕事を振り分ける人数が増えます。
自分たちの仕事を楽にすることにもつながるのに、新人をないがしろにする病院がまだ多いみたいですね。
最後に
私が新人看護師だった頃、私たち5人の新人に対し看護師3年目のプリセプターが2人付きました。
そのプリセプターたちの他に3年目が2人、4年目が3人、10年目くらいが2人、大ベテランのおツボネ的存在が3人、主任2人と師長1人で病棟は構成されていました。
新人の味方は誰一人いませんでした。
プリセプターは2人とも「一回言ったことはもう教えないから」と新人に言い放ち、教えられていない物品の場所を訊いただけで怒られ、自習のために病棟に点在するマニュアルを集めていたら「まだ仕事覚えてないの?」と罵られたものです(配属から10日目)。
「患者さんを殺したいの?」って、実は新人だった私が言われた言葉です。
インシデントの後でもなく、時間内に仕事を終わらせることが出来なかった時に、にやにやしながらプリセプターにこう言われました。
この言葉を言われた時、「患者さんを助けたいと思っているのに、私にはそのレベルに達することができないんだ」と思いました。軽い絶望感のような感情でした。
最初の病院を転職する、ひとつのきっかけになりました。
もちろん、ヒトの命の責任を伴う仕事である以上、インシデントを起こさないように仕事に集中することや、緊張感を持つことは大切です。
しかし、過度のそれが委縮につながらないように、周囲は今職場にいる新人さんをどうかフォローしてあげてほしいと思い、この記事を書きました。
新人さんは、この言葉を言われても傷つく必要はない。
新人さん以外は、この言葉を新人さんに言わないでほしいし、できるだけフォローしてあげてほしい。
そう願うばかりです。
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