最初に書いておきますが、私は学生さんを指導する立場になったことはありません。
最初の病院は1年半で辞めていますし、次の病院では主任クラスか5年以上経験のある看護師が学生指導を受け持っていました。
「看護学生って、理不尽な思いしなきゃならないよなぁ……」と感じたことはありませんか?
誰しも看護学生を経て看護師になります。
その道中で、理不尽な思いをまったくしなかった看護師さんも珍しいのでは、と思います。
この記事で伝えたいことを最初に言うと、
『看護学生をテキトーに扱うの、そろそろやめません?』
ということです。
なぜなら、学生を大切にすることがその職場の将来に直結するからです。
ですので今日は、
『学生さんの(実習ツラい……)を失くすために現場ができること』
について書きたいと思います。
きっと、
「ツラさが劇的に改善されました」
みたいな効果バツグンな方法ではないけれど、こういう気持ちを現場の看護師が少しずつ持ったなら、職場環境はきっとより良くなるはずだ。
Contents
看護学生の私が実習で「つらい……」と思ったこと
『人には様々な理由があるということを看護師として忘れないでいよう。』という記事にも私の学生時代のことを書いていますが、現場の看護師の看護学生に対する扱いって、まぁひどいもんでしたよ。
現場がいかに学生に構っている暇がなく、学生を疎ましく思っているかを実習期間中に思い知らされました。
看護学生だった私が「つらい……」と感じたことは、以下です。
・挨拶無視
・看護計画をけなされる
・報告させてもらえない
・報告が遅いと怒鳴られる
他にもいろいろありますが、きりがないのでピックアップ。笑
挨拶無視
挨拶って人としてのキホンだけど、挨拶無視するってどうなの?
挨拶をするだけだよ。こんなに簡単なことないよ?
結局、学生ウェルカムではないから挨拶を返してもらえないんですよね。
(そういうことですねわかりますー)
みたいな荒んだ気持ちになっちゃいますよね。
看護計画をけなされる
学生ですから、立てた看護計画が不十分なこともあり、それに対するダメ出しは「本当にすみません……勉強やり直します」という気持ちにもなります。
しかし、看護計画発表後、一言「話にならない」とだけ言って立ち去った看護師がいました。
超・怖かった。
その後の報告もすべて無視。
見てもらえなかったので、立てた計画はバイタルサイン測定以外ひとつも実行できませんでした。
患者さんにも申し訳なかったです。
朝っぱらから学生指導担当になったことを病棟の若い看護師に
「なんで私に学生がついてるの!」
と怒鳴っていたのは聞こえていたので、「これはヤバいぞ……」と思ってはいた。
でも想像以上でした。
この時、私が思ったのは、
ということ。
学生指導って、病院が受け入れている以上一応『仕事』の一環ですよね?
なのに、こんなことが許されるんだーという衝撃。
あれ一回だけだったのが幸いだったかな。
報告をさせてもらえない
「学生の報告なんて」という態度が透けて見える看護師さんはワリと多くて、報告を聞いてもらえなかったことは数回あります。
で、学生の報告を聞かないまま看護師が休憩に入ってしまい、休憩から上がってきた看護師と学生指導の看護師がやりあう現場も一度見ました。
「なんで学生の報告聞かないの!」
「学生の報告聞いてるヒマなんてない。あんたが受け持てば良かったんじゃない?」
それを聞いて震えあがる私たち学生……。まぁまぁの修羅場でした。
ひとまず、この病院には就職しないと決めました。
報告が遅いと怒鳴られる
「今、報告聞くの無理」って言われたら、待つじゃない?
そう言われて、後からもう一度「今よろしいですか?」って言うの勇気要りますよね。
だから、機会を伺いつつ待ってました。
病棟に戻りパソコンで記録を始めたその日の学生担当看護師が、パソコンを打ち終わるのを待ってました。
学生の休憩時間まであと20分、急に「バンッ!!」って音がして、
「遅い! なんで記録中、報告に来ないの!」
……?????
ダメだって言われたから待ってたじゃん……。
記録邪魔しちゃいけないと思うから待ってたじゃん……。
待っているなら「今なら報告聞けるよ」って言ってくれればいいだけの話じゃん……。
というか、学生が待ってるの、気づいてたよね?
怒鳴る必要ある??
という混乱の中で、やつあたりされまくる報告を終え、私たち学生は逃げるように休憩室へ避難しました。
ひとまずのまとめ
……ハイ。
もう、自分の過去の傷をえぐったわ。
思い出したくなかったわ、あの恐怖。
とりあえず私は実習中に、看護師を目指したことを何度か後悔しましたね。
ただ、看護学生を辞めるという勇気がなかったので、
「看護師免許を取るまでの辛抱だ……」
と耐え続け、なんとか卒業できました。
専門学校だから3年で看護師になれたけれど、4年とか5年かかってたら、看護師になること自体を諦めていたかもしれないな。
看護師になってから看護学生の指導について考えたこと
しかし、病棟で働いてわかりました。
看護師、忙しすぎるよね。
ただでさえ手一杯な仕事に加えて、
学生の看護計画を聞き、
仕事の合間を縫って学生がやるケアを組み込み、
それに対して指導するのは、至難のワザです。
それは間違いない。
看護師の仕事って、委員会を受け持っていたり、看護研究を担っていたりと、学生の目には見えていない仕事が他にも色々ありますからね。
しかも、学生さんは実習終了時間には処置が終わるよう、学生さんの看護計画を調整しなければなりません。
忙しすぎる病院では、確かにとても難しいことです。
わずらわしいと感じるのも無理はないと、看護師になってからが正直そう思いました。
だから看護学生をイジメていいわけじゃない
しかし、どんなに忙しいからと言って、そのイライラを学生にぶつけるべきじゃないという気持ちは変わりません。
実際に働いている現場の看護師とともに、
患者さんの看護に携わることが学生の勉強の一環であり、
病院側がその実習を受け入れて、
現場の看護師の『仕事』として学生を受け持つことが決まっている以上、
それは仕方なくないですか?
学生さんにキツイ言葉をかけた同僚もいたけれど、
「学生がどれだけ傷つくかわかっててやってるんだよなぁこの人」
という気持ち。
看護師として7年働いていたので、私も現場の忙しさは多少わかる身だと思います。
しかしやっぱりね、人柄が出ることだと思うんですよね。
看護学生の「実習つらい……」を無くすために現場ができること
さて、ここからは私が実際に看護学生さんとの関わりで気を付けていたことを書きます。
直接学生さんを教えたことはない私ですが、せっかく病棟に学びに来て接点ができたのだから、なるべく威圧しないように注意していたつもり。笑
私が気を付けていたことは以下です。
・挨拶を無視しない&こちらから挨拶する
・学生指導看護師を探していたら、その看護師がいる場所を伝える
・物品の位置を訊かれたらすぐに教える
・トラブっているように見えたら、即学生指導の看護師に伝える&何が起きているか自分で訊く
こちらも、それぞれ見ていきましょう。
挨拶を無視しない&こちらから挨拶する
看護学生時代に無視され続けた過去の私を救うように、とにかく挨拶だけはしよう&返そうと思っていました。
そんな理由から、学生さんを見かけたらこちらから挨拶しました。
挨拶だけでも言葉を交わした看護師がいるって、ちょっとした安心材料にならないかな?
学生担当看護師を探していたら、その看護師がいる場所を教える
学生指導ナースが帰ってこない時ってけっこう不安じゃない?
だから、学生指導がいない時に学生さんが探していて、場所を私が知っていたら教えます。
検査とか行ってて病棟にいない時もあるから、それなのに探し回るのも時間のムダですしね。
物品の位置を訊かれたらすぐに教える
看護学生だったかつて、物品の位置を訊いたら
「自分で探せば良いんじゃないですか」
と病棟看護師に言い放たれた思い出。
わかるわけなくない?
イジワル過ぎない?
だいたい、本来あるべき物品がたまたま切れてて在庫出さないといけないかもしれないし、
そうなればもう学生さんにできることはありません。
トラブっているように見えたら、即学生指導の看護師に伝える&何が起きているか自分で訊く
学生さんがテンパっている時って、残念ながら良いことは起きていませんよね。
もし患者さんに関わるトラブルを起こしていたら、すぐにどうしたのか訊いた方が患者さんの安全も守れます。
私はトイレ前であたふたする学生さんに声をかけたら、トイレ内で患者さんが転倒していたことがあります。
その時は大事に至りませんでしたが、ヤバいですよね。
もっとヤバいことが、あたふたする学生さんの目の前で起きているかもしれません。
『一瞬どうすればいいかわからなくなった』時に、学生さんだと判断が鈍ることもあります。
*****
まぁ、こうやって書いてはいますが、ある程度自分の仕事に余裕がある時しかできないですからね。
私も自分の仕事がパンパンな時にこういうフォローができる自信は、正直ありません。
でも心に置いておいて損はないことだと思います。
看護学生さんは「実習つらい……」と思った病院を覚えておこう
なぜなら当然、「その病院に就職するべきではないから」です。
理由は主に2つ。
・就職したら忙しすぎる毎日が待っているかもしれない
・就職したら自分もいずれそんな看護師になるかもしれない。
就職したら忙しすぎる毎日が待っているかもしれない
学生にすら対応できない病院が、新人看護師をちゃんと育てられるとは思えないんだよなぁ。
きちんと新人研修を受けたいのなら、避けるべき病院の特徴だと思います。
就職したら自分もいずれそんな看護師になるかもしれない
私は看護師を目指した人にもともとそこまで悪い人はいない、
ということをまだ信じたいので、忙しすぎる環境がその人を変えたのだと思いたい……!
ただ、忙しすぎる環境に身を置かれれば、自分もかつて恐怖を感じたような看護師と同じように追い込まれるかもしれません。
自分だけはそうならないと断言することはできますか?
お局のようにはなるまいと誓い合った同期がお局化した例もありますしね↓↓
最後に
思い出さなくて良かったはずのことを思い出して記事を書いた結果、古傷が痛みました。笑
しかし、看護学生時代の鬱憤が、この記事を書くことによって天に召されたような気がします。
看護学生も大変だし、看護師も大変。
「みんな忙しい中ゼッタイに仲良くしましょうね」なんて夢見てんじゃねーよって話だし、私もそんなことは完全にはムリだとわかっています。
それでも、看護師が働きやすい未来のために、労働環境は良くするべきだと思います。
イジワルしない、のは当たり前だとして、プラスアルファで少しずつできることを考えていけば、労働環境は良くなっていくんじゃないですかね。
以上です。読んでくださってありがとうございました。